【第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。】
とあります。この文章を簡素にしたものが下の文章になります。
【定められた防火対象物(建物など))の関係者は、その建物に設置してある消防用設備を、総務省令が決めた期間ごとに、消防設備士もしくは有資格者に点検をさせ、決まったところに報告をしなければならない。】となります。
その為、「定められた防火対象物(建物など)の関係者」は、点検して報告する義務があります。
第三十一条の六法第十七条の三の三の規定による消防用設備等の点検は、種類及び点検内容に応じて、一年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うものとする。(※1(平成16年5月31日)(消防庁告示第9号))
2 法第十七条の三の三の規定による特殊消防用設備等の点検は、第三十一条の三の二第六号の設備等設置維持計画に定める点検の期間ごとに行うものとする。
3 防火対象物の関係者は、前二項の規定により点検を行った結果を、維持台帳(第三十一条の三第一項及び第三十三条の十八の届出に係る書類の写し、第三十一条の三第四項の検査済証、次項の報告書の写し、消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事、整備等の経過一覧表その他消防用設備等又は特殊消防用設備等の維持管理に必要な書類を編冊したものをいう。)に記録するとともに、次の各号に掲げる防火対象物の区分に従い、当該各号に定める期間ごとに消防長又は消防署長に報告しなければならない。ただし、特殊消防用設備等にあっては、第三十一条の三の二第六号の設備等設置維持計画に定める点検の結果についての報告の期間ごとに報告するものとする。
一 令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物 一年に一回
二 令別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項から(十五)項まで、(十六)項ロ、(十七)項及び(十八)項までに掲げる防火対象物 三年に一回
太文字赤文字をだけを抜粋すると、「消防用設備等の点検は、種類及び点検内容に応じて一年以内で消防庁長官が定める期間(半年ごと)行い、次の各号の掲げる防火対象物の区分に従い、当該各号に定める期間(1年もしくは3年)ごとに報告をしなければならない。」となります。
ここで注意して頂きたいのが、「点検」と「報告」は別の内容ということです。
よく点検が3年に1度でいいと思っていらっしゃる方がおりますが、おそらくそれは報告が3年に1度で良いという意味です。
点検はどんな防火対象物でも半年ごと実施が必要です。
報告は防火対象物の種類によって1年もしくは3年ごとに必要です。
下記の一覧に該当する建物は点検の実施が必要です。
防火対象物一覧表(赤文字……特定防火対象物)
項別 | 防火対象物の用途 | |
---|---|---|
1 | イ | 劇場・映画館・演芸場・観覧場 |
ロ | 公会堂・集会場 | |
2 | イ | キャバレー・カフェー・ナイトクラブ・その他これらに類する施設 |
ロ | 遊技場・ダンスホール | |
ハ | 風営法に規定する性風俗関連特殊営業店舗・その他総務省令で定めるもの(則第5条) | |
ニ | カラオケボックス・個室型店舗で総務省令で定めるもの(則第5条) | |
3 | イ | 待合・料理店・その他これらに類する施設 |
ロ | 飲食店 | |
4 | 百貨店・店舗型マーケット・展示場・その他物品販売業を営む店舗 | |
5 | イ | 旅館・ホテル・宿泊所(簡易宿所・カプセルホテル・無料宿泊所など)・その他これらに類する施設 |
ロ | 寄宿舎・下宿・共同住宅 | |
6 | イ | 病院・診療所・助産所 |
ロ | 特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・救護施設・乳児院・知的障害者援護施設・身体障害者更生援護施設等の要介護状態にある者や心神・身体障害の程度が重い者など火災時において自力で避難することが著しく困難な者が入居・入所する社会福祉施設 | |
ハ | 老人デイサービスセンター・軽費老人ホーム・老人福祉センター・保育所(保育園)・児童養護施設・地域活動支援センター・小規模多機能型居宅介護施設・短期入所施設・自立支援施設・通所施設等そのほかの社会福祉施設 | |
ニ | 幼稚園・特別支援学校 | |
7 | 小学校・中学校・高校・大学・専門学校・その他各種学校 | |
8 | 図書館・美術館・博物館・その他これらに類する施設 | |
9 | イ | 蒸気浴場・熱気浴場・その他これらに類する公衆浴場(サウナ風呂・岩風呂・砂風呂など) |
ロ | (9)項イに掲げる以外の公衆浴場(銭湯・日帰り入浴施設など) | |
10 | 車両の停車場、船舶または航空機の発着場(旅客の乗降や待合いのための建築物に限る)(俗に言う「駅ナカ」を除き、食堂や売店などを併設していない駅・ターミナル・フェリー乗り場など) | |
11 | 神社・寺院・教会・その他これらに類する施設 | |
12 | イ | 工場・作業場 |
ロ | 映画スタジオ・テレビスタジオ | |
13 | イ | 自動車車庫・駐車場 |
ロ | 飛行機、回転翼機の格納庫 | |
14 | 倉庫 | |
15 | 前各号に該当しない事業場(企業の事務所、官公庁の庁舎、上水場・下水処理場、発電所・変電所、銀行、体育館など) | |
16 | イ | 建物の一部が(1)項から(15)項までのうちの特防に該当している複合用途防火対象物(住宅兼食堂・経営者がそれぞれ違うホテル兼レストランなど) |
ロ | (16)項イに該当しない複合用途防火対象物(住宅兼事務所・住宅兼倉庫など非特防のみの複合用途) | |
16の2 | 地下街 | |
16の3 | (16の2)項に該当するものは除いて、建物の地階で連続して地下道に面したものとその地下道を合わせた部分(通称「準地下街」) ただし(1)項から(15)項のうちで特防に該当する用途部分を含んでいるものに限 る(地階がある隣あうビル同士を地下道でつないだものなど) |
|
17 | ⽂化財保護法により規定された重要⽂化財・重要有形⺠俗⽂化財・史跡などの各種⽂化財建築物、または旧重要美術品等ノ保存ニ関スル法律で重要美術品と認められた建物 | |
18 | ⻑さ距離50m以上のアーケード | |
19 | 市区町村⻑の指定する⼭林 | |
20 | 総務省令(則第5条3項)で定める舟車 |
逆に記載がないものは点検の必要はありません。
例えば、アパートやマンションは5項(口)に記載がありますが、戸建ての場合は記載がない為、消火器などを置いてあっても点検の必要がありません。
また、赤文字の部分が「特定防火対象物」と言い、1年ごとに点検の報告義務があります。黒文字の部分は「非特定防火対象物」と言い、3年ごとに点検の報告義務があります。
一番わかりやすいものが消火器具です。その他にも、誘導灯や自動火災報知設備(熱感知器や煙感知器等)、避難器具や場合によっては放送設備も消防用設備になります。
下記の一覧表でご確認ください。
消防用設備等 | 消防の用に供する設備 | 消火設備 | 1.消火器及び簡易消火用具(水バケツ、水槽、乾燥砂等) |
---|---|---|---|
2.屋内消火栓設備 | |||
3.スプリンクラー設備 | |||
4.水噴霧消火設備 | |||
5.泡消火設備 | |||
6.不活性ガス消火設備 | |||
7.ハロゲン化物消火設備 | |||
8.粉末消火設備 | |||
9.屋外消火栓設備 | |||
10.動力消防ポンプ設備 | |||
警報設備 | 1.自動火災報知設備 | ||
2.ガス漏れ火災警報設備 | |||
3.漏電火災警報器 | |||
4.消防機関へ通報する火災報知設備 | |||
5.非常警報器具(警鐘、携帯用拡声器、手動式サイレン) 非常警報設備(非常ベル、自動式サイレン、放送設備) |
|||
避難設備 | 1.避難器具 (すべりだい、避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋、その他の避難器具等) |
||
2.誘導灯及び誘導標識 | |||
消防用水 | 防火水槽、これに変わる貯水池その他の用水 | ||
消火活動上必要な施設 | 1.排煙設備 | ||
2.連結散水設備 | |||
3.連結送水管 | |||
4.非常コンセント設備 | |||
必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等 |